令和6327

金融庁

「四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂に係る意見書」及び「監査に関する品質管理基準の改訂に係る意見書」の公表について

企業会計審議会より、「四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂に係る意見書」及び「監査に関する品質管理基準の改訂に係る意見書」が公表されました。

主な改訂点とその考え方

 1 期中レビュー基準への名称変更
期中財務諸表の種類や結論の表明の 形式を異にするレビューも含め、年度の財務諸表の監査を実施する監査人が 行う期中レビューの全てに共通するものとして、四半期レビュー基準の名称 を期中レビュー基準に改めることとした。
 2 期中レビューの目的の改訂
期中レビュー基準において、監査基準の枠組みとの整合性にも十分配意し、 かつ、現行の四半期レビュー基準の趣旨を踏まえ、改正後の金融商品取引法 における中間財務諸表に対するレビューのような一般目的の期中財務諸表を 対象とした適正性に関する結論の表明を基本としつつ、一般目的の期中財務 諸表又は特別目的の期中財務諸表を対象とした準拠性に関する結論の表明が 可能であることを明確にした。


3 実施基準の改訂
期中レビューの実施に当たっては、準拠性に関する結論の表明の場合であ っても、適正性に関する結論の表明の場合と同様に、期中レビュー手続を実施し、結論の表明の基礎となる証拠を得なければならないことから、「第二 実 施基準」が当然に適用されることに留意が必要である。継続企業の前提に関 する手続についても、準拠性に関する結論の表明の場合であっても、適正性 に関する結論の表明の場合と同様である。また、期中財務諸表に対する期中レビューの結論を表明する場合のほか、期中財務諸表を構成する貸借対照表 等の個別の財務表や個別の財務諸表項目等に対する期中レビューの結論を表明する場合についても、期中レビュー基準が適用される(その際、期中レビュ ー基準中「期中財務諸表」とあるのは、必要に応じ「個別の期中財務表」又は 「個別の期中財務諸表項目等」と読み替えるものとする。)。 なお、特別目的の期中財務諸表には多種多様な期中財務諸表が想定されることから、「第二 実施基準」において、監査人は、特別目的の期中財務諸表の期中レビューを行うに当たり、当該期中財務諸表の作成の基準が受入可能かどうかについて十分な検討を行わなければならないことを明確にした。このほか、特別目的の期中財務諸表の期中レビューを行うに当たっては、当該 期中財務諸表が特別の利用目的に適合した会計の基準に準拠して作成されて いることに留意する必要がある。

 4 報告基準の改訂
 「第一 期中レビューの目的」において、適正性に関する結論に加えて準拠性に関する結論にかかる記述を付記したことを踏まえ、「第三 報告基準」にお いて、期中レビュー報告書において記載すべき事項を明確にした。すなわち、 「第三 報告基準」の「1 結論の表明」では、適正性に関する結論の表明につ いて特別の利用目的に適合した会計の基準により作成される期中財務諸表の場合を付記するとともに、これに加えて、準拠性に関する結論の表明について 規定し、監査人が準拠性に関する結論を表明する場合には、作成された期中財務諸表が、当該期中財務諸表の作成に当たって適用された会計の基準に準拠して作成されていないと信じさせる事項が全ての重要な点において認められなかったかどうかについての結論を表明しなければならないこととした。準拠性に関する結論を表明するに当たって、監査人は、経営者が採用した会計方針が、 会計の基準に準拠して継続的に適用されているかどうか、期中財務諸表が表示 のルールに準拠しているかどうかについて形式的に確認するだけではなく、当該会計方針の選択及び適用方法が適切であるかどうかについて、会計事象や取 引の実態に照らして判断しなければならないことにも留意が必要である。 なお、準拠性に関する結論の表明については、別途の報告基準を改めて規定するのではなく、適正性に関する結論の表明を前提としている報告基準に準じ ることとしているが、特別目的の期中財務諸表の利用者の誤解を招かないよう にするために「第三 報告基準」に「14 特別目的の期中財務諸表に対する期中 レビューの場合の追記情報」を設けた。すなわち、特別目的の期中財務諸表に対する期中レビュー報告書を作成する場合には、期中レビュー報告書に、会計の基準、期中財務諸表の作成の目的及び想定される主な利用者の範囲を記載す るとともに、期中財務諸表は特別の利用目的に適合した会計の基準に準拠して 作成されており、他の目的には適合しないことがある旨を記載しなければなら ないこととした。また、期中レビュー報告書が特定の者のみによる利用を想定 しており、当該期中レビュー報告書に配布又は利用の制限を付すことが適切で あると考える場合には、その旨を記載しなければならないこととした。

 不正リスク対応基準との関係
期中レビューについては、年度監査と同様の合理的保証を得ることを目的として いるものではないことから、不正リスク対応基準は期中レビューには適用されない。 なお、期中レビューの過程において、期中財務諸表に不正リスク対応基準に規定 している不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を識別した場合等には、監査 人は、必要に応じて、期中レビュー基準に従って、追加的手続を実施することにな る。

 実施時期等
1 期中レビュー基準は、令和6年4月1日以後開始する期中財務諸表に係る会計 期間の期中財務諸表に対する期中レビューから適用する。

2 1の規定にかかわらず、改正法附則第3条第2項に規定する、改正後の金融商 品取引法第 24 条の5第1項の表の第1号の中欄に掲げる事項を記載した半期報告書に含まれる中間財務諸表の期中レビューについては、期中レビュー基準を適用する。

 3 改正後の金融商品取引法第 24 条の5第1項の表の第2号の中欄に掲げる事項 を記載した半期報告書又は同表の第3号の中欄に掲げる事項を記載した半期報 告書に含まれる中間財務諸表については、引き続き、中間監査基準に準拠した対 応を行う必要がある。

 4 期中レビュー基準を実務に適用するに当たって必要となる実務の指針につい ては、日本公認会計士協会において、関係者とも協議の上、適切な手続の下で、 早急に作成されることが要請される。

詳細は、金融庁ホームページをご覧ください。)